SONY DSC-RX10M3 4K動画撮影テスト

SONY DSC-RX10M3

SONY DSC-RX10M3

SONY DSC-RX10M3(関西空港)

SONY DSC-RX10M3(関西空港)


SONY DSC-RX10M3 4K動画撮影サンプル1


SONY DSC-RX10M3 4K動画撮影サンプル2


SONY DSC-RX10M3 4K動画撮影サンプル3

空港で飛行機の撮影を題材に、SONY DSC-RX10M3による4K動画のテスト撮影を行いました。その結果をまとめたので、ご紹介します。

SONY DSC-RX10M3は、

・超望遠撮影が可能。(光学ズーム最望遠680mm+全画素超解像ズーム)
・飛行機のように高速で動く被写体を撮影するときでも手振れ補正機能が使える。
・美しい夜景が撮れる。
・ズームリモコンが使える。

といった点が特徴的なカメラです。

(1) ズームレンズ
4K動画の場合、28mm-680mm(手振れ補正スタンダードのとき)。開放F値はF2.4(ワイド端) -F4.0(テレ端)。

25倍ズームでありながら、最広角から最望遠までとてもシャープに写る。特に最望遠でも、画面の周辺部分の解像感の低下や色収差が見られないので、望遠を多用する飛行機の撮影にはとても適している。一方、航空祭でブルーインパルスの展示飛行を撮る場合、広角で撮りたい場合も多い。最広角が28mmというのもなかなかよい(本当は24mm、あるいはさらに広角が欲しい場合もあるのだが・・)。

DSC-RX10M3は広角から超望遠までレンズ交換なしで撮れるので、撮影チャンスを逃さない、撮影の自由度が上がるという点で大きなアドバンテージを持つ。競合機種にPanasonicのDMC-FZ1000やDMC-FZH1があるが、これらは4K動画撮影時の最広角が37mmないし36mmなので、広角側が足りない場合はワイコンを付ける必要がある。

ズームを動かすと開放F値が変わる。28mm F2.4で撮っている状態でシャッター速度固定なら、ズームアップすると画面は暗くなっていく。ズームアップしても明るさを変えないためには、F4.0以上に絞って撮る必要がある。

MF(マニュアルフォーカス)で最望遠でフォーカスを合わせ、ズームダウンしてもフォーカスがずれない。AF(オートフォーカス)でズーム操作しても、ピンボケしにくいので、1カットの中で、ズームダウン・ズームアップができる。ビデオカメラではあたりまえの機能だが、デジカメやデジタル一眼の交換レンズでは、一般的にズームを動かすとピンボケすることが多いので、DSC-RX10M3のズームレンズは動画撮影に向いている。

(2) 全画素超解像ズーム
4K動画の場合、全画素超解像ズームを使うと最望遠が1,360mmになる。全画素超解像ズームの画質はかなり良好。全画素超解像ズームを使用する/しないは、メニューで設定できる。

(3) 電動ズームとズームリモコン

SONY純正のズームリモコンが使用できる。

RM-VPR1 6,900円(税別)(ケーブル接続)
RMT-VP1K 7,000円(税別)(赤外線レシーバーが付属)

SONY RM-VPR1

SONY RM-VPR1(ズームリモコン)

SONY RM-VPR1

SONY RM-VPR1(ズームリモコン)

動画の撮影中と、撮影していない時とでは、電動ズームの速度がかなり変わる。動画の撮影中は、電動ズームの動きが遅くなる。

ズームリモコンでは、ズームレバーの押し加減により、速度を2段階(高速・低速)に調節できるが、それ以上の可変速ズームはできない。

電動ズームの速度は、カメラ本体のメニューでも、2段階(標準または高速)に設定できる。カメラ本体のズーム速度の設定を「高速」にした場合は、動画撮影中、ズームリモコン側のズームレバーの操作で、ズーム速度を2段階に調節できる。カメラ本体のズーム速度の設定を「標準」にした場合は、ズームリモコン側で「高速」にしても「低速」にしても、ズーム速度は変わらない。

ズームリモコン(RM-VPR1)による電動ズームの操作は、SONY FDR-AX1のようなビデオカメラと比較すると、スムーズさでやや劣る感は否めない。ズームリモコンを使用しても、最望遠の近辺でズームアップを開始あるいは終了する時、画面ががたつきやすい。これは実用上、非常に残念な点である。PanasonicのDMC-FZH1は、DSC-RX10M3と同様にズームリモコンが使えるが、ズーム動作の安定性ではDSC-RX10M3よりも優れている。

光学ズームと全画素超解像ズームの境目で、ズームスピードが変わるので、シームレスなズーム操作はできない。

RM-VPR1には、三脚のパン棒に取り付けるためのクリップが付属しているが、あまり太いパン棒には取り付けられない。

業務用のLANC端子のズームリモコン(RM-1BP)を、変換ケーブルを使ってDSC-RX10M3につないでみたが、動作しなかった。RM-1BPは、SONYの家庭用ビデオカメラ(例えばFDR-AX100)では、変換ケーブルを使えば動作するという情報があるので、デジカメとビデオカメラでは、リモコンによる電動ズームの制御方式に違いがあるようだ。

(4) 露出制御
動画撮影時の露出制御は、P(プログラムAE)、A(露出優先オート)、S(シャッター速度優先オート)、M(マニュアル)の選択が可能。

動画撮影では通常、S(シャッター速度優先オート)、シャッター速度 1/60秒で撮影したい。DSC-RX10M3にはNDフィルターは内蔵されていないので、日中屋外での撮影では、外付けのNDフィルターが必要。晴天日中の撮影ならND8、夕方ならND4を用意しておきたい。

S(シャッター速度優先オート)では、カメラをパンするにつれて明るさが大きく変わるような場合でも、撮った映像の明るさの変化はとてもスムーズ。絞りが不連続に動作して画面の明るさが段階的に変わるようなことは起きない。また、今どういう絞り値が選択されているか、モニター画面に表示されるので、撮っていて安心感がある。

(5) AF(オートフォーカス)
4K動画を撮影時、飛行機の離着陸をフォローするような場合、日中ならフォーカスが外れることは少ない。ただ、PanasonicのDMC-FZ1000やDMC-FZH1と比較すると、動画撮影時のAFの精度は若干劣るので、可能な限りMFで撮影した方が安全。撮影中、一旦フォーカスが外れると、復帰に時間がかかる場合がある。

(6) 手振れ補正
4K動画で使える手振れ補正のモードはスタンダードのみで、アクティブやインテリジェントアクティブは使えない。カメラをパンする場合(飛行機の離着陸をフォローするような場合)でも、手振れ補正の挙動が自然で、安心して使える。望遠撮影を多用する飛行機の撮影では、とても有利。PanasonicのDMC-FZ1000やDMC-FZH1の手振れ補正は、動く被写体の撮影では揺り戻しが激しく、事実上使えない。

(7) ピクチャープロファイル
設定により、動画のコントラストや色調を変更できる。

PP1: [Movie]ガンマを用いた設定例
PP2: [Still]ガンマを用いた設定例
PP3: [ITU709]ガンマを用いた、自然な色合いの設定例
PP4: ITU709規格に忠実な色合いの設定例
PP5: [Cine1]ガンマを用いた設定例(最低感度 ISO 200)
PP6: [Cine2]ガンマを用いた設定例
PP7: [S-Log2]ガンマで撮影するときの推奨設定(最低感度 ISO 800)

撮った映像をそのまま使用したい場合はPP1かPP4、編集時に多少調整したい場合はPP3かPP6が扱いやすい。PP7の[S-Log2]は、編集時にカラー・グレーディングが必須。撮影時の最低感度がISO 800になるのでノイズも出やすく、扱いはなかなか難しい。

(8)ローリングシャッター現象
センサーからの読み出し速度の高速化により、ローリングシャッター現象が低減されている。

(9) 夜景
裏面照射型・1.0型積層型Exmor RS CMOSセンサーを搭載。ISO感度をアップしてもノイズが比較的目立たないので、夜景が美しく撮れる。個人的にはISO 3200、シャッター速度 1/30秒までが許容範囲。
飛行機の強烈なライトが、美しい円形に撮れる。これは実際に使ってみないとわからない、夜に飛行機を撮影する上では意外と重要なポイント。
夜景に関しては、DSC-RX10M3の方が、PanasonicのDMC-FZ1000やDMC-FZH1よりも美しく撮れる。

(10) 液晶モニター
上下に向きを変えられるチルト式。タッチパネル非搭載。バリアングルモニターではないので、状況によっては、やや撮影しにくい場面が予想される。

(11) 外部マイク
屋外での撮影では、風によるボコボコ音を抑えるため、ウインドジャマー付きの外部マイクを使用すべき。テストではオーディオテクニカのAT9941を使用。

(12) その他
・4K動画の連続撮影時間は、29分59秒まで。
・4K動画を日中、長時間撮影しても、発熱による撮影停止は起きなかった。
・4K動画を撮影する場合、バッテリーの減りは速い。数10秒から数分のカットを多数撮影するような場合、動画ファイル40分ごとにバッテリーが1本必要。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です


* (上の4桁の英数字を入力して下さい)

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください