アマチュアの限界を打破するには

 最近、いくつか旅客機の市販ソフトを買いました。一つは、コックピット映像の「PILOTS EYE.tv モルディブ(Blu-ray)」。

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 これは、デュッセルドルフ国際空港からモルディブ・マレ国際空港までフライトするA330-200のコックピットに、6台のハイビジョンビデオカメラを持ち込み、パイロット目線でフライトの様子を撮影したものです。特にモルディブの青い海に浮かぶマレ空港への着陸シーンはとても美しく、圧巻でした。

 もう一つは「ANA BOEING 787(Blu-ray)」。

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 ANA 787 特別塗装機をエプロンや格納庫、ランウェイサイドなどで撮影した3D映像と、ボーイング社が撮影した空撮映像などの特典映像(2D)が収録されています。特に、3D映像のエプロンや格納庫のシーンは、機体を至近距離から撮影しており、787のディティールを存分に楽しめます。

 少し前にご紹介した「ありがとうジャンボ(DVD)」もそうですが、これらに収録されている映像の多くは、航空会社等の特別な協力を得て、一般人は立ち入り不可能な場所で撮影が行われています。ハイビジョンのビデオカメラや、ノンリニア編集用のパソコンが個人で入手できるようになり、機材の面ではプロとアマチュアの差はかなり少なくなってきています。しかしながら、これらのBlu-rayやDVDに含まれる映像は、アマチュアが個人の立場で撮影したいと思っても、許可が下りないので撮影のしようがありません。

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 現在では、YouTubeのような動画共有サイトが普及し、以前と違って誰でも自分で撮影した動画を公開できるようになりました。飛行機の撮影は比較的難易度が高いので、YouTubeでも質の高い映像を公開しているチャンネルは限られてはいるのですが、とは言っても、既に大量の飛行機動画があふれています。こうした状況の中で、商品価値の高い映像ソフトを作るとなると、上記のような普通の人では見れない・撮れない映像というのが、大きなポイントになるのでしょう。

 風景の撮影なら、一般的にはプロでもアマチュアでも撮影条件は同じです。しかしながら、被写体が飛行機の場合、プロとアマチュアでは撮影条件が大きく異なります。空港や航空会社等の協力・依頼を得て、普通の人が立ち入れない場所(例えば空港のフェンスの中)で撮影できるのがプロ。この観点において、プロとアマチュアの間には、アマチュアが時間や努力では解決できない壁が存在します。

 当サイト(j-sky)は、その前身(RW:runway)を開設してから10年目に入りましたが、当初から目標としていたことがいくつかありました。YouTubeのような動画共有サイトがまだない頃、大画面・高画質の動画配信は、自前のサーバーを運用することで実現しました。動画のクオリティを追求する過程で、いつかは自分で撮影・編集した映像ソフトを商品化したいという目標は、昨年、幸運にも達成できました。(ネット上ではない)リアルな場所での作品上映は、有志の方々と協力して、現在も継続中です。これらの目標はなんとかクリアしてきたのですが、次の(ある意味では最後の)目標のハードルはかなり高い。それが、飛行機の撮影ではプロにしか許されない、撮影場所の制約という壁を取り払うことです。実は、これに関しても過去何度かトライしたことがあり、成功したことが全く無いというわけではありません。以前、下地島空港で、特別にエプロン周辺での撮影許可をいただいたことがあります。とはいえ、成功したのは後にも先にも、この一度きりです。

 私はプロのカメラマンを目指しているわけではないし、なれるとも思っていないので、その前提でこの壁を乗り越えたい。そのためにはどうすればいいのか。むしろ「急がば回れ」的なアプローチが有効ではないか、等々・・。簡単にはクリアできず、結果的に最後までクリアできないかもしれませんが、最近、このテーマについて考えることがとても多くなりました。

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