最後の砦

 管首相が “最後の砦” と期待する自衛隊の幹部は、『やれと言われればやるのが我々の仕事だ』と語った。

 東京電力、その関係会社や下請け会社、警察、消防、そして自衛隊。福島原発の状況が悪化するに連れて、危険な作業はますます自衛隊のみなさんに頼らざるを得ない場面が増えていくのではないでしょうか。

 平時は蔑ろにされることが多く、危険な状況においては当然のように対応を求められる自衛隊。3月17日に行われた、自衛隊ヘリによる福島原発への放水作業。16日に放水が見送られ、17日になって行われたのは何故か。それは、任務にあたる自衛隊員個人の累積被ばく総量限度を、それまでの50ミリシーベルトから、100ミリシーベルトに緩めたから。決して、原発周辺の放射線量が少なくなったからではありません。そして、この100ミリシーベルトという数字は、17日のうちにさらに250ミリシーベルトへと緩和されました。

 自衛隊にまつわるエピソードで、私がいつも思い出すのはこれです。

 吉田茂のスピーチ (昭和32年2月、防衛大学第1回卒業式にて):
 「君達は自衛隊在職中、決して国民から感謝されたり、歓迎されることなく自衛隊を終わるかもしれない。きっと非難とか叱咤ばかりの一生かもしれない。御苦労だと思う。しかし、自衛隊が国民から歓迎されちやほやされる事態とは、外国から攻撃されて国家存亡の時とか、災害派遣の時とか、国民が困窮し国家が混乱に直面している時だけなのだ。言葉を換えれば、君達が日陰者である時のほうが、国民や日本は幸せなのだ。どうか、耐えてもらいたい。」
 自衛隊を取り巻く環境は、この当時よりは少しはましになってきていると思いますが、まだまだ正当な評価を得られていないと思います。このような中でも、粛々と任務を遂行する自衛隊のみなさんには、本当に頭が下がります。

 そして、現地で対応にあたる全ての方々の無事をお祈りいたします。

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自衛隊員に救助された生後4か月の赤ちゃん

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