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新千歳空港撮影準備 (1)

●きっかけ

 12月のある日、飛行機の情景写真で有名なLuke H. Ozawaさんの写真集「JETLINER II」を久しぶりに取り出してみました。この写真集の冒頭は、新千歳空港の写真で始まります。そこには、以下のような記述がありました。

 「新千歳空港 -- 冬の千歳はとにかく面白い。雪と寒さという大自然が演出してくれるため、普段撮れない絵が数多く存在する。ここ数年、1月、2月は可能な限り訪れている。一回の滞在は約一週間、これには理由がある。天気である。この時期の低気圧は発達しながらかなりのスピードで西から東に抜けていくため、一週間いれば晴れもあれば雪もある。吹雪の翌日、降り積もった新雪ほど美しいものはない。時には一日の中で「晴れのち吹雪のち晴れ」なんていう時もある。そんな気象条件の中、一日のトラフィックおよそ270便という彼らたちが僕のヒコーキ写真に一役も二役も買ってくれるのである。」

 「なるほど、1週間滞在できれば、晴れの絵も雪の絵も撮れるのか。冬の新千歳空港、行ってみたいなあ。」

 改めてうちの本棚をみると、以前買ったイカロス出版のムック「新千歳空港」という本もありました。その中には、フォーカス@新千歳という撮影ガイドがあって、空港およびその周囲のどこでどういう写真が撮れるかという説明が書いてありました。

 先日、知人の結婚式のついでに大阪の伊丹空港で撮影する機会があり、慣れない場所での難しさもありましたが、それ以上に撮れる絵の新鮮さに興奮させられたばかり。また新しい撮影地を開拓したい、冬ならやっぱり雪景色だろう、などと漠然と思っていたところ、これらを読んで、私はたちまち「千歳に行きたい病」にかかってしまいました。

 うちの会社は、夏休みの他に1週間、リフレッシュ休暇なるものを取ることができます。ここ何年かは忙しくて、この権利を行使していなかったのですが、今年は1月の下旬であれば何とか休めそうです。家族の了解も取り付けて、私は、2007年1月下旬に、オリジナル撮影ツアー「冬の新千歳空港6日間」を実行する準備に入ったのでした。

投稿者 webmaster : 2006年12月14日 00:48 | コメントする (0) | トラックバックする (0)

新千歳空港撮影準備 (2)

●千歳行き6日間でいくらかかる?

 私は東京に住んでいるので、羽田から新千歳まで、飛行機で行くことになります。マイルを集める都合上、今回はANAを使うことにします。航空券ですが、正規料金だと片道29,800円もしますが、28日前までに早朝や夜遅くの便を予約すると、旅割で11,400円~13,400円で買えてしまいます。これは思ったより安い。

 宿の方も、空港内にあるホテルだと1泊8,000円ぐらいしますが、ちょっと離れた千歳駅近くの格安ビジネスホテルであれば、1泊4,000円程度で泊まれることが分かりました。これであれば、往復の航空券+5泊分のホテル代で合計45,000円前後ということになります。決して安くはないですが、許せる範囲の金額だと思って、本日、予約を入れてしまいました。

投稿者 webmaster : 2006年12月14日 22:59 | コメントする (0) | トラックバックする (0)

新千歳空港撮影準備 (3)

●新千歳空港の撮影ポイント

 次に、新千歳空港周辺の撮影ポイントの調査を開始。まずはネットで探してみたのですが、あまりよい情報が見つからず。ということで、イカロス出版のムック「新千歳空港」、定番の「全国空港ウォッチングガイド」、月刊エアライン2006年12月号の付録「全国主要空港ヒコーキ撮影ガイドブック」をチェックしました。

 なんと、金網などがなくてとても撮影しやすい空港ターミナルビルの展望デッキは、冬季閉鎖されてしまうんですね(泣)。これは結構ショックでした。空港外周のポイントでの撮影は、交通の便も悪く、雪と寒さで苦労しそうですが、最大の問題は、どこも高いフェンスがあって脚立が必須だということ。現地で撮影されているの方にお問い合わせしたところ、空港は周囲を高さ約2メートルのフェンスで囲まれているそうです。ビデオ撮影の場合、ぜひとも三脚を使って撮りたいのですが、フェンスをクリアするには高さ2メートル以上の特大の三脚を用意しなければなりません。それらをどうやって現地に持ち込めばいいのか? 私は東京に住んでいるので、羽田や成田なら車で運んでしまうので問題ないのですが、今度は北海道ですからね。

投稿者 webmaster : 2006年12月16日 20:36 | コメントする (0) | トラックバックする (0)

新千歳空港撮影準備 (4)

●脚立の上でビデオ撮影?

 写真の場合だとそれほど問題にならないのですが、脚立の上でビデオを撮るというのは非常に難しいものです。ビデオの場合、安定した絵を撮るために、三脚を使って撮るのが原則です。また、離着陸する飛行機(動きが速い)を望遠でフォローし続けなければなりません。広く安定した地面の上でも、一定時間、ブラさずにフォローし続けるのは非常に難しい作業なのですが、それを不安定な脚立の上でやるというのは・・・。

 ビデオカメラを大きくパンする場合、手持ちであれば体をひねれば何とかなりますが、三脚でとる場合には撮影者が三脚の周りを移動する必要があります。したがって普通に考えると狭い脚立の上にとどまり続けることはできないのです。できることなら、脚立の高さでステージのような広い足場が欲しい。

 2メートルのフェンスをクリアできる特大の三脚と高くて広い足場を、雪の新千歳空港の外周の撮影ポイントに運び込む必要があります。果たして実行可能でしょうか? かといって、脚立の上で手持ち撮影では、撮れる絵のクオリティはあまり期待できず、新千歳空港まで大金をかけて遠征する意味がなくなってしまいます。

 行き当たりばったりで撮影に臨むのは、あまりにリスキーです。これは、成田あたりでフェンス越えの撮影の予行演習をした方が良さそうです。

●予行演習

 成田のさくらの山公園は、飛行機ウォッチングにはよい場所ですが、2メートルほどのフェンスがあるので、フェンス間際で滑走路上の離陸や着陸の瞬間を撮影するには、脚立が必要です。新千歳空港の外周と似たような環境なので、ここで予行演習をすることにしました。下の写真は、さくらの山公園の様子です(写真をクリックすると拡大表示になります)。
 


 羽田や成田だとあまり出番がなかったのですが、実は、私も特大の三脚を持っていたので、今回はそれを使うことにしました。SLIK の THE PROFESSIONAL 4 で、最大高は2.5メートル。予算の関係で、カーボン製ではなくアルミ製を購入したので、重さは6.9キログラムもあり、持ち運ぶのもセッティングするのも大仕事です。これはスチル用の三脚ですが、ビデオ用の三脚でここまで大型のものを入手することは困難です。この三脚の上に、VelbonのボールヘッドPH-173とManfrottoのビデオ運台 503を取り付けました。VelbonのボールヘッドPH-173は、ビデオカメラの水平をすばやく正確に取るために使用します。

 撮影用の足場としては、通常の脚立ではなく、ホームセンターなどで洗車用として販売している作業台を用意しました。足場の広さは、30センチ×82.5センチです。高さも82.5センチで、これは三段の脚立とほぼ同じ高さです。ちなみに重さは6.2キログラムです(泣)。

 三脚と作業台は、フェンス前にこのようにセッティングしました。ビデオカメラの位置からは、フェンスを十分にクリアすることができました。

 この日は風向きの関係で、滑走路からこちらに向かって離陸する飛行機を撮影したのですが、この場合だと、離陸する飛行機をフォローするには、ビデオカメラを約180度パンする必要があります。カメラをパンするにつれて、撮影者の方も移動する形になるので、どうしてもある程度の広さ・長さのある台が必要なのです。

 作業台の上にあがると、結構高くて、最初は撮影するにもおっかなびっくりといった感じでした。ですが、20機ほど離陸シーンを撮影するうちに、だんだんと慣れてきました。

撮影サンプル (Windows Media 640x480 (2.0Mbps))

 三脚に対して、作業台の置き場所をきちんとセッティングできれば、そこそこ安定した絵が撮れることが分かりました。これなら、現地でも何とかまともな絵が撮れそうです。ただし、雪の中、これらの機材を撮影ポイントまで運ぶという難関が残っていますが。

●三脚・作業台は宅急便、現地での移動はレンタカー

 いろいろと考えた結果、
  ①特大の三脚と作業台は宅急便で送る。
  ②現地での足としてレンタカーを借りる。
しかないだろうという結論になりました。

投稿者 webmaster : 2006年12月17日 22:47 | コメントする (1) | トラックバックする (0)

コメント

突然のご連絡、恐縮です。クレオ・ムイナスの川辺と申します。新千歳空港を離陸する飛行機の写真を探していて貴ページにたどり着きました。

私どもは主に公的機関のPR資料を製作する機会が多く、今回もその関係で新千歳空港のネットワーク紹介にふさわしい写真を探しておりました。
そこでぜひ、星澤さまが公開されている写真を活用させていただければありがたく思います。(take-off-1-thumb.jpg)

実は大変恐縮なのですが、印刷の関係があり、可否を含めてご返答を2013/4/17(水)までにいただければ誠にありがたく存じます。また可能の場合は恐れ入りますが、印刷に耐えうるサイズの大きな写真をご提供いただけますでしょうか。
どうぞご検討よろしくお願いいたします。

投稿者 クレオ・ムイナス : 2013年04月13日 15:38

新千歳空港撮影準備 (5)

●レンタカー

 となると、レンタカーを借りる算段をしなければなりません。雪道を走るので、安全のため4WDにしたいところ。これもネットで調べてみると、4WD指定での予約は可能だということがわかりました。1人旅だし、空港外周の細い道も走る可能性があることから、なるべく小さい車の方がよいということで、軽の4WDを借りることにしました。

投稿者 webmaster : 2006年12月20日 00:44 | コメントする (0) | トラックバックする (0)

新千歳空港撮影準備 (6)

●札幌の1月下旬の天気は?

 1月下旬の昨年・一昨年の札幌の天気はというと、6日間だと確率的には晴れが2日、曇りが2日、雪が2日といった感じです。本当なら、もう少し晴れの多い時期が望ましいのですが、今回は仕事の都合上この時期しか休めないので仕方がありません。

Yahoo!天気予報 札幌 過去の天気

●札幌の冬はどのくらい寒い?

 空港外周での撮影となると、雪の中、屋外で長時間過ごすということになります。昨年の札幌の1月の気温を調べると、晴れの日の最高気温が0℃、雪の日の最低気温が-12℃。気温的にはスキー場の山の上で吹雪いた時といった感じでしょうか。油断すると、まじで凍死してしまいそうです。防寒・防雪のための、十分な装備が必要です。

●ビデオカメラは、この寒さでも動くのか?

 私が使っているSONYのHDR-HC1というビデオカメラの取扱説明書を見ると、動作温度が0℃~+40℃となっています。特にバッテリーが寒さに弱いとのこと。何の対策もしないと、冬の千歳空港の外周では撮影不可能だということです。人間だけでなく、ビデオカメラにも防寒着が必要です。さて、どうしたものか・・。

投稿者 webmaster : 2006年12月31日 04:01 | コメントする (0) | トラックバックする (0)

新千歳空港撮影準備 (7)

 今日(1/11)、ネット販売で注文した防寒ジャケットが届きました。新千歳空港外周での早朝や夜間、吹雪の中での撮影を見込んで、防水透湿素材のゴアテックスを使った極寒仕様のものを選びました。その他、防寒用のインナーやブーツも買ったので、結構な投資となってしまいました。気がついたら、旅費よりも防寒装備の方が高くついていたりして・・。こうなったら、これからは冬場は毎年、雪国の空港に撮影旅行に行って、元を取るしかない(笑)。

 なんてことを考えていたら、恐るべき事実が判明。1月なら新千歳空港は雪景色に決まっていると思い込んでいましたが、今年は今のところとても雪が少なくて、なんと地面が見えているらしい。行くのは1週間以上先ですが、もし雪がなかったらどうしよう・・(泣)。もう、立ち直れないかもしれません。

投稿者 webmaster : 2007年01月11日 21:53 | コメントする (0) | トラックバックする (0)

新千歳空港撮影準備 (8)

 真冬の新千歳空港での撮影に備えて、ビデオカメラの防寒用のカバーを作ってみました。

 もちろん、最初は市販品で適当なものはないか探したのですが、スチルカメラ用のもの、プロが使うビデオカメラ用のものだと良い製品がいくつかあったのですが、私の使っているSONYのHC1にフィットするものとなると見つけることができなかったからです。

 ネットで色々と情報収集していたら、プロのビデオカメラマンのブログに、スキーの撮影用にエアクッション(こわれやすいものを保護するための梱包材)でカバーを自作したという記事が掲載されていました。エアクッションの中の空気が保温効果を発揮するとのこと。私は、できることならHC1の液晶モニタや純正の外部マイクも使えるカバーが欲しいと思っていたので、「しょせん既製品では無理だろう。これは自分で作るしかないか・・。」という結論に至りました。

 材料は、軟質プラスチック製の書類ホルダー、梱包材のエアクッションとウレタンフォーム、マジックテープです。材料費は2,000円くらいです。それらを切り抜いて、ビニールテープと両面テープを使って貼り合わせて作りました。

 装着方法ですが、まず初めに、バッテリー(最も寒さに弱い)とビデオカメラの下の部分を防寒材で覆います。

 使い捨てカイロをバッテリー部分をはじめ、何箇所かに貼り付けたあと、さらに、カメラの上から全体にカバーをかぶせます。

 手持ちでの撮影は想定しておらず、撮影のスタート・ストップ、ズームイン・アウトなどの基本的な操作は、運台のハンドルに取り付けてあるリモコンで行うので、この状態でも特に撮影に支障はありません。

 テレコンを付けると、こんな感じになります。雪が降っているときは、この状態で使います。HC1の場合、レンズの根元の部分にオートフォーカスの入/切など、いくつか操作が必要なスイッチ類があるので、その部分はマジックテープで開閉できる小窓を付けました。

 雪が降っていない場合は、カバーの上の部分を開けて、外部マイクを取り付けます。

 液晶モニタ部分は透明なので、見ながら撮影することができます。HC1の場合、液晶モニタがタッチパネルになっていて、そこでカメラの設定を行いますが、このカバーは柔らかいので、カバーの上からタッチパネルの操作もできます。

 外部マイクを取り付ける部分だけ、カバーに穴を開けてあります。

 カバー内部の温度が確認できるように、温度計も取り付けてみました。

 私の住んでいる東京だと、北海道のように氷点下には気温が下がらないのですが、先日、夜明け前の成田空港でこのカバーの使い勝手および防寒性能をテストしてみました。結果は、撮影に特に支障はなく、また、カバー内部にミニタイプの使い捨てカイロを3個仕込んだ状態で、外気温0℃のときカバー内部を12℃に保つことができました。カイロを増やせば、温度をもう少し上げることもできそうなので、真冬の新千歳空港の外周でも、これなら何とかなりそうです。

 防寒用のカバー作りですが、自作もやってみると何とかなるもんですね、いざやりだすと真剣になってしまって、小学校・中学校の図画工作の時間に戻ったようで、結構楽しめました(笑)。

投稿者 webmaster : 2007年01月13日 12:53 | コメントする (3) | トラックバックする (0)

コメント

 この自作カバーの話を読んでいたら、こちらまでドキドキしてきました。
 ひとつ気になるのは、使い捨てカイロは体に着けていなくてもあったかいのだろうかということです。たしか、体温に触れていないとあったかくならないかと思ったのですが、カメラ自体の熱でもOKなのかな。
 バッテリーにエアクッションというのは、東京でも冬場の撮影で生かせそうですね。真似をさせていただくかもしれません。
 吹雪くような寒さだと、雲台のオイルが固まってザハトラーでないと使えないなんていう話も聞きますが、帰ったらその辺もどうだったかを、ぜひお聞かせいただきたいと思います。
 昨日か一昨日だったか、朝のニュースで札幌に雪がなく、雪祭りの対策に困っているという話を聞きました。星澤さんが行かれる直前にたくさん降り、行くときには止んで飛行機の到着にも影響がない、なんていう風に上手くいくと良いですね。
 私も今は子持ちなので、一人で撮影旅行に出掛ける機会を得ることの大変さを実感しております。ですから、この撮影旅行の成功をお祈りするとともに、作品のアップを楽しみにしています。

投稿者 882@2 : 2007年01月13日 16:31

 使い捨てカイロは、鉄分の酸化で熱で出す仕組みのようですから、酸素と暖めるもの(通常は衣類の間の空気)があればいいみたいですよ。このカバーは、エアクションの空気とカバー内部の空気が暖まるようにと考えて作ったのですが、テストしたところでは、使い捨てカイロの熱で確かにカバー内部の温度が上がりました。

 でも、現地で試してみないことには、効果のほどは未知数ですね。軟質プラスチックのカバー自体も、0℃だとかなり硬化したので、どうなることやら。

 運台の件は、確かに不安材料です。寒くなると、運台の動きはだんだん固くなりますからね。0℃では問題は出ませんが、千歳だと最低気温-10℃~-15℃ぐらいは覚悟する必要があります。カメラをパンするときにがたつくようだと最悪ですが、どうしたものでしょう。ザハトラーはちょっと手が出ないし・・。

投稿者 星澤 隆 : 2007年01月13日 18:41

 現在使用中の運台はManfrottoの503なんですが、動作可能温度は-20℃~+60℃となっていました。カタログベースではとても優秀です。運台も暖める必要ありかと思って、ちょっと考えていたんですが、大げさなことをしなくても何とかなりそうですね。

Manfrotto 503 :
http://www.manfrotto.com/Jahia/site/manfrotto/cache/off/pid/3293?livid=80|86&idx=87
(FULL TECHNICAL SPECIFICATIONS 参照)

投稿者 星澤 隆 : 2007年01月16日 03:26

新千歳空港撮影記(1)

 1/22(月)朝、待望の新千歳空港撮影旅行に出発しました。羽田8:00発のANA便で、定刻通り9:35に新千歳に到着。天気は晴れ、風向きは南風です。雪が無いのではと心配していましたが、空港の周囲には土の見えているところがあるものの、空港内にはきれいな雪が残っており、まずは一安心。レンタカーを借り、今日から泊まるビジネスホテルで事前に送っておいた大型の三脚と脚立代わりの作業台を受け取り、防寒着に着替えると準備完了です。この時点で時刻は12:00。最初の撮影ポイントは、午後かつ南風ということで、19Lエンドに決めました。

 19Lエンドは、南風の場合、着陸機を間近で見れるポイントです。だいたいの場所はわかっているものの、初めて走る道なので、どこからどう入ればいいのか試行錯誤するはめになりましたが、何とか目的地に到着。積雪が少ないことは、雪道に慣れていない私にはとても助かりました。
 19Lエンドでは、青空に適度に雲が浮かぶという絶好のコンディション。空港内の白い雪、周囲の森や遠くの山々の景色がとても美しく、実に感動的な光景が広がっています。本当に苦労してやって来たかいがあったと思いました。
(※写真は、撮影したビデオからキャプチャーしたものです。クリックすると大きな画像が表示されます。)

 フェンスをクリアするため、大型の三脚と作業台をセッティングし、撮影を開始。着陸機の下部にも雪の反射できれいに光が回って、とてもきれいなカットが撮れます。

 最初の頃はあまり寒さを感じなかったので、ビデオカメラもそのままで撮影をしていたのですが、15:00をすぎる頃から急に寒さを感じるようになりました。ビデオカメラのバッテリーも1本目が急速に消耗してしまったので、2本目に交換。合わせて、使い捨てカイロと防寒用カバーで、ビデオカメラの防寒対策を実施しました。外気温0~-2℃で、カバー内部は+10~+8℃となり、以後、安定して撮影を続けることができました。運台に関しては特に何もしませんでしたが、若干動きが硬めになったものの、問題なく使用できました。

 今日は、夕暮れまで19Lエンドで撮影を続けました。夕暮れのターミナルビルも、また格別の美しさでした。空には、2機のF15も轟音を上げながら訓練飛行をしていました。

 本日(1/22)の成果は60分テープ2本半です。飛行機以外にも、合間に空港内の設備や周囲の景色を撮ったので、午後だけの撮影の割には本数が増えました。

投稿者 webmaster : 2007年01月25日 20:16 | コメントする (0) | トラックバックする (0)

新千歳空港撮影記(2)

 千歳滞在2日目の1/23(火)。天気予報では晴れ、北風とのこと。朝焼けの空港を撮るために、AM 6:30にホテルを出発しました。撮影ポイントは、ターミナルビルに近い19Rエンドを選択。今回は道に迷うこともなく、7:00前には目的地に到着しました。ここでは当たり前なのかも知れませんが、空気が冷たく澄んでいて、とてもすがすがしい朝です。朝日が昇り始めると、ターミナルビルや駐機中の飛行機が黄金色に輝き出しました。羽田や成田ではほとんど見ることのできない飛行機の霜取り作業も、ばっちり撮影できました。

 離着陸が始まる8:00頃には19Rエンドを後にして、滑走路中央北側の通称生コンポイントに向かいました。生コンポイント(近くにセメント工場があるのでこう呼ばれている)は新千歳ではとても有名な撮影ポイントなので、平日にもかかわらず何人か先客がいました。ここでは、ビデオカメラのセッティングに非常に苦労しました。正面ゲートの両脇のポストが高く、持参した大型の三脚で約3メートルの高さにビデオカメラをセッティングしても、カメラをパンする際にポストが写ってしまうからです。ここでは離陸・着陸両方が撮影できるのですが、ポストをクリアするには、どちらか一方のベストポジションを選択するしかないようです。今回は、離陸機の撮影を優先することにしました。

 11:30頃になると逆光気味になってきたので、撮影ポイントを移動することにしました。次の撮影ポイントは、通称 A-10と呼ばれる、01Lエンドの西側のポイントです。道道130号線から小道を入ったところにあるとのことなのですが、その小道の入り口というのが見つかりません。130号線を5往復ほどして、半ばあきらめかけたところ、自衛隊基地側を政府専用機が飛んでいるのが見えました。

 急遽、自衛隊基地側の撮影ポイントをチェック。徒歩になりますが、130号線から36Rエンド付近に行ける道があります。とりあえず、デジタル一眼レフだけ持って、徒歩で下見に行くことにしました。歩くにはちょっとつらい距離でしたが、何とか36Rエンドに到着。しばらく待ちましたが何も来ません。時刻は13:00頃。訓練も終わってしまったのかと思って帰ろうとしたところ、南の空に飛行機の明かりが見えました。轟音とともに政府専用機が着陸してきます。こんな間近で政府専用機を見るのは初めてです。夢中でカメラで連写してしまいました。

続いて、プロペラ機、小型のジェット機(機種がわからん・・)が飛来。そしてその後には、遂にあのF15まで現れました。これまた、こんな至近距離から見るのは初めてです。

その後、もう1回づつF15と政府専用機を見たところで急に吹雪いてきたので、一旦切り上げて車に戻りました。

 かなり本格的に雪が降り出しました。朝の様子では、まさか雪になるとは思っていなかったので、傘や雪の日用の装備の一部をホテルに置いてきてしまいました。しかたがないので、一旦ホテルに取りに戻ったのですが、そうこうするうちに雪は止み、また青空が見えてきました。聞いてはいましたが、冬の千歳の天気が短時間でこんなに変化するとは・・。

 気を取り直して、再度 A-10の入り口探しをしたところ、やっとそれらしい入り口を見つけることができました。4WDでも車高の低い乗用車タイプだとスタックする恐れがあるという事前情報なので、小道の入り口に車を止めました。撮影機材をカートに乗せて、それを引きながら徒歩で撮影ポイントに向かいます。入り口から撮影ポイントまでは800メートルほどもあります。大型の三脚と作業台を運ぶのに、真冬だというのに汗だくになってしまいましたが、何とか目的地に到着しました。着いたところは目の前が誘導路で、飛行機が間近に迫ると近すぎてカメラのフレームに機体が入りきらないという、迫力の撮影ポイントでした。この時点で、時刻は15:30。日没まで1時間ほどしかありません。

 しばらくすると、何と政府専用機が誘導路をこちらに向かってやってくるではありませんか。訓練は自衛隊基地側でやっていますが、民間空港側で離陸ということは、実際の公務でどこかに行くということなんでしょうか?

 曇りがちの状況でしたが、とにかく日没で撮影不可能になるまで、ここで撮影を続けました。本日(1/23)の成果は、60分テープ約3本でした。

投稿者 webmaster : 2007年01月25日 20:24 | コメントする (0) | トラックバックする (0)

新千歳空港撮影記(3)

 千歳滞在3日目の1/24(水)。天気予報では雪、北風とのこと。AM 6:30の時点では確かに雪が降っていたので「今日はのんびり出発しよう」と思っていたら、7:30頃には雪は止んで日が差してきました。8:00頃には青空が見え始め、今日もまた好天になりそう。吹雪の中での撮影を期待・覚悟していたのですが、うれしいのやら悲しいのやら・・。

 8:30頃、昨日と同じく生コンポイントに到着。今日は、着陸機優先で撮ろうと、三脚のセッティング位置を変更しました。

 10:30頃、雪がちらつき始めました。そのうちにかなり降り出してきて、日は差しているが吹雪いているという、撮影する上ではとても好ましい状態に。カメラには防水・防雪を兼ねた防寒カバーをかぶせてあるので、雪が降ってきても撮影は続行できます。ただし、雪が降る中では視界が悪く、離陸シーンなどでは飛行機を見失ってしまうことがあって、撮影も難しい・・。

 雪は長く降り続くことは無く、しばらくするとまた晴れてきました。普通なら晴れればうれしいのですが、連日好天が続いていて、吹雪の絵も撮りたいと思っていたところだったので、ちょっと残念。引き続き、逆光気味になる11:00頃まで、ここでの撮影を続けました。

 昼食をとって、今日は早めにA-10ポイントに向かいました。とはいっても、機材をそこまで運ぶのが大変なので、結局、撮影可能になったのは14:00頃でした。

 今日は昨日と違って、日が差している時間が長く、かなりきれいなカットが多くとれました。日没までここで撮影を続行。

 本日(1/24)の成果は、60分テープ約3本でした。

投稿者 webmaster : 2007年01月25日 20:40 | コメントする (0) | トラックバックする (0)

新千歳空港撮影記(4)

 千歳滞在4日目の1/25(木)。連日の撮影でさすがにちょっと疲れ気味だったので、今日の撮影は午後からにしました。風向きはまたしても北風。今日は前日、前々日とはパターンを変えて、撮影ポイントは19Lエンドを選択。こちらに向かって来る着陸機、離陸機を望遠で狙うことにしました。
 19Lエンドからだと着陸機はとても遠いため、見栄えのするカットはなかなか撮れませんでした。一方、離陸機の方は、テレコンを使うと思いのほか迫力のある離陸シーンが撮れて、とても満足のいく結果となりました。

 19Lエンドからだと午後は逆光になるのですが、雪がレフ版の役目をしてくれるので、とてもいい感じの絵が撮れました。本日(1/24)の成果も、60分テープ約3本でした。これで、撮影は4日間が終了。千歳にいられるのも、あと残り2日になりました。

投稿者 webmaster : 2007年01月25日 20:47 | コメントする (0) | トラックバックする (0)

新千歳空港撮影記(5)

 千歳滞在5日目の1/26(金)。天気は晴れ、風向きは久しぶりの南風です。撮影ポイントは昨日に引き続き19Lエンドにしました。

 太陽の位置の関係で、午前中は19Rからの離陸機を中心に撮影。

 午後は19Lへの着陸機を中心に撮影しました。

 夕暮れ時には、また美しい夕焼け空が見れました。

 冬の新千歳空港の、澄んだ空気による視程の良さはすばらしいです。吹雪かなければ、滑走路の向こう側の端までくっきりと見えます。羽田や成田だと1年に数回お目にかかれるかどうかなのに、ここでは(少なくとも私の滞在期間中は)毎日がこうです。さらに、雪レフのおかげで光がよく回って、感動的ともいえる美しい絵が撮れます。ひっきりなしに離発着便があるので、撮影の効率という点でも文句なしです。まさに天国のような環境です。唯一、厳しい寒さという点を除けば。

 結局、今日は朝から夕方まで一日中、19Lエンドにいました。撮影ポイントを移動しなかったため、ロスタイムがほとんどなく、成果は60分テープ約4本になりました。

 明日(1/27)は、千歳滞在の最終日です。

投稿者 webmaster : 2007年01月26日 21:16 | コメントする (0) | トラックバックする (0)

新千歳空港撮影記(6)

 千歳滞在6日目の1/27(土)。今日は撮影最終日です。天気は、千歳に来てから初めての本格的な雪、風向きは北風です。撮影ポイントですが、午前中は19Lエンド、午後はA-10->生コンポイントへと移動することにしました。A-10と生コンポイントについては、今まで撮影した時間帯とは異なる時間帯にしてみました。

 最初の撮影ポイントは、19Lエンドです。実に北海道の空港らしい、しんしんと降る雪の中の空港の風景を見ることができましたが、一点誤算が・・。テレコンを使ってこちらに向かってくる離陸機を中心に撮ろうとしたのですが、雪がだんだんと激しくなると、どんどん視界が悪くなって、滑走路の向こう側や離陸する飛行機が見えなくなって来ました。

 8:00頃はこんな感じでしたが・・

 8:50頃は、こんな感じになって

 これ以降は、離陸機を撮るのは不可能になってしまいました。

 千歳には、雪が降っていても撮影が可能なように、防水透湿仕様の防寒着や-40℃でも耐えられる防寒ブーツ、ビデオカメラ用の防寒・防雪カバーなどを持参して行ったので、ある意味、本格的な雪の日を待っていたようなところがありました。実際、氷点下の気温の中での撮影でも、寒さに関しては特に問題は無かったのですが、いざ降ってみると飛行機が見えない(笑)。

 特に北風の際の19Lエンドは、離着陸する飛行機まで距離があるので、ほとんど見えない状態です。しかたがないので、ここは早々と切り上げて、次の撮影ポイントA-10に向かいました。

 A-10は、北風の場合、至近距離を飛行機がタキシングしてきて、180度ターンして滑走路に向かい離陸していくという迫力の撮影ポイントです。雪が降っていても、少なくとも撮影ポイントの近くを通過する間は、十分に撮影可能です。

 11:00頃、A-10に到着。誰もいないので貸切状態です。下は、今日のA-10からみた風景です。誘導路が凍り付いていて、実に寒そう(笑)。

 遠くは白一色で、その中から飛行機が徐々に現れます。いやあ、晴れているのもいいですが、吹雪いているのもこれぞ北海道という感じでとてもよいですね。

 あまりにも北海道らしい、とてもいい絵が撮れるので、ついつい長居をしてしまいましたが、14:15頃にA-10を後にして、最後の撮影ポイントの生コンポイントに移動することにしました。15:00頃、生コンポイントに到着。土曜日のメジャーな撮影ポイントということで、他にも撮影に来ている人がたくさんいました。もっともみんな一眼レフカメラを構えていて、ビデオカメラを使っているのは私だけでしたが。フェンスをクリアするために、オフロード車の屋根の上で撮っている人がいて、とてもうらやましかったです。

 このころは、もう雪も止んで、曇り空の寒々しい景色が広がっています。

 帰りの飛行機の時間の都合上、16:00過ぎに撮影を終了。こうして、新千歳空港撮影旅行は幕を閉じました。

 今年の千歳はとても雪が少ないそうです。ですが空港内は雪景色だったので、撮影上はほぼ満足いく絵が撮れました。天気にも恵まれました。滞在6日間で、晴れ時々雪が5日、雪のち曇りが1日、南風は2日、北風が4日でした。来る前は晴れは2日あればいい方かと思っていましたが、実際に来てみると晴れている時間が多く、結果的に美しい絵がたくさん撮れてとてもラッキーでした。南風が2日あったというのも、撮影のバリエーションを増やすのにとても役立ちました。雪の降る日も撮りたいという願いは、最終日にしっかり叶いました。

 冬の新千歳空港というのは、被写体としてとても素晴らしいですね。周囲の美しい山々や木立、澄んだ空気による抜群の視程、空港内一面の雪、晴れていたかと思うと吹雪いたりしてめまぐるしく変わる天候、テンポよく撮影できる多数のトラフィック・・。本当に病み付きになりそうです。今年ははもう無理でしょうが、できれば来年もぜひ来たいと思いました。

投稿者 webmaster : 2007年01月28日 18:29 | コメントする (0) | トラックバックする (0)

新千歳空港撮影ガイド(冬季)

 2007年1月下旬の新千歳空港での撮影は、個人的には非常に楽しく感動的とも言える体験でした。またぜひともトライしたいと思っていますが、本当のところはいくつか反省材料もあるので、忘れないうちに書き記しておこうと思います。一部、本人にしか意味のない情報もありますが、北海道以外の地域に住んでいる方が、冬の新千歳空港で撮影を行う場合にできるだけ参考になるように意識しつつ、書いてみたいと思います。

●撮影場所について

 下記の情報は、私が現地を訪れた2007年1月時点のものです。この時は、積雪がわずか15センチほどで、現地の人も異常気象だというほど雪が少なく、積雪が多いときには事情も変わるものと思われます。その点には注意してお読み下さい。

 私が訪れたのは、空港外周のランウェイ19Lエンド、ランウェイ19Rエンド、生コンポイント、A-10の4ヶ所です。なお、空港ターミナルビルの展望デッキは冬季閉鎖されており、撮影には使えません。

 上の写真は、新千歳空港での撮影にあたって、実際に行った撮影ポイント(赤い●印)の地図です。
 (クリックすると拡大表示となります)

 新千歳空港の横には航空自衛隊の基地があります。上記の撮影ポイントは、いずれも民間機の撮影のためのポイントです。自衛隊基地側の撮影ポイントに関しては、今回はほとんど行くことができませんでした。

 空港外周はとても広く、公共の交通機関はあてにできないため、効率的に撮影するには車が必要だと思います。私は、現地でレンタカーを借りました。冬の北海道はレンタカー業界からみるとオフシーズンなので、4WD+スタッドレスタイヤ装備の車が、そう高くない料金で借りられます。ただし、4WDとはいっても、雪道を走る際には細心の注意を払うようにしましょう。

ランウェイ19Lエンド

 ランウェイ19Lエンドは、南風の場合に着陸コースとなり、頭上を着陸機がかすめていく撮影ポイントです。北風の場合は、滑走路の向こう端から着陸してくる飛行機を望遠で撮影することになります。撮影する位置にもよりますが、基本的には午後順光となります。2メートルほどのフェンスがあるため、脚立が必要です。
 今回は積雪が少なかったので、車で到達可能でしたが、積雪が多い場合、車で到達できるかどうかは不明です。なお、撮影の合間には車の中で暖をとることができるので、思ったよりも快適に撮影することができました。

ランウェイ19Rエンド

 ランウェイ19Rエンドは、南風の場合に離陸機の滑走開始地点となります。北風の場合は、こちらに向かって離陸機が離陸してくる形になります。なお、南風の場合、外国のエアラインの一部が着陸してくるケースがありました。ターミナルビルまで比較的近く、駐機している機体やプッシュバックする機体を撮るには格好のポイントです。

 午前中が順光となります。2メートルほどのフェンスがあるため、脚立が必要です。今回は積雪が少なかったので、車で到達可能でしたが、途中で丘を登る部分があり、4WD車でもタイヤが空転してしまって登リきるのにとても苦労しました。積雪が多い場合、車で到達できるかどうかは不明です。

生コンポイント

 新千歳空港の平行滑走路の真ん中あたりに位置します。通常は、手前の滑走路が着陸機、向こう側の滑走路が離陸機となります。吹雪いている時やその直後には、新千歳名物の逆噴射シーンを間近にみることができます。午前中が順光です。2メートルほどのフェンスがあるため、脚立が必要です。また、フェンスのゲート(当然施錠されています)の両端に3メートルほどのポストがあります。私はビデオカメラをパンする際にこれが邪魔になって、撮影時とても苦労しました。
 ここは、現地では有名な撮影ポイントとのことで、休日ともなれば多くの方々が撮影に訪れます。
 今回は積雪が少なかったので、車で到達可能でした。積雪が多い場合、車で到達できるかどうかは不明ですが、道の途中にはコンクリート工場があるので、それなりに除雪が行われるのではないかという気がします。

A-10
 ランウェイ01Lエンドの西側に位置するポイントです。北風の場合、至近距離を飛行機がタキシングしてきて、180度ターンして滑走路に向かい離陸していくという迫力の撮影ポイントです。午後が順光となります。2メートルほどのフェンスがあるため、脚立が必要です。
 撮影ポイントまでは、道道130号線から小道を800メートルほど入る必要があります。

小道は狭くてアップダウンがあり、4WDでも車高の低い乗用車タイプだとスタックしてしまいます。冬季は車で進入しないで下さい。

 撮影機材を抱えて雪道をかなり歩く必要があるため、他のポイントと比べて到達するのが困難なポイントです。私は撮影ポイントまで、三脚と脚立代わりの作業台をカートに載せて運んだので、真冬だというのに汗だくになってしまいました。今思えば、雪道なので、機材の運搬には車輪の付いたカートよりもそりのようなものを使った方が楽だったかもしれません。

 上記の通り、いずれの撮影ポイントにも2メートルほどのフェンスがあります。スチルカメラで手持ち撮影をするのなら、三段程度の脚立があればOKです。ビデオ撮影の場合は、三脚を使いたいのでそれだけでは対応できません。私は、SLIKのTHE PROFESSIONAL 4という最大高2.5メートルの特大の三脚と、足場にするための作業台を現地に持ち込みました。(詳しくはこちら

 現地では、オフロード車の屋根の上で撮影している人がいました。A-10以外のポイントでは、フェンス間際まで車で行けるので、屋根の上に上れる車を用意できるのであれば、そのような方法も可能です。

●防寒装備について(撮影者用)

 今回の新千歳空港の外周での撮影時、最高気温は0℃前後、最低気温は-12℃前後でした。幸いにも晴れの日が多く、風の強い日もあまり無かったので助かりましたが、それでも東京在住の私にとっては吹雪のスキー場でしか経験したことのないような寒さです。撮影では動かずに待っている時間が長いので、十分な防寒対策が必要です。

 今回は新千歳空港での初めての撮影で、撮影以外のことで苦労する事態は極力避けたいと考えたので、暖かく快適に撮影するための投資は惜しみませんでした。結果、以下のような防寒装備を準備して、現地に持ち込みました。準備にあたっては、現地にお住まいの方から、いろいろとアドバイスをいただき、とても助かりました。

・アウター
 FoxFire GTXオーロラジャケット+GTXフィヨルドパンツ(素材:ゴアテックス)
・ミドルウェア
 ユニクロ フリースジャケット
・インナー
 ミズノ 厚手タイプのアンダーシャツ+タイツ+靴下(素材:ブレスサーモ)
・スノーブーツ
 Kodiak Athabasca 2
・手袋
 スキー用の手袋(素材:ゴアテックス)+薄手の作業用手袋
・帽子
 スキー用の耳当て付きの帽子(素材:ゴアテックス)
・サングラス
 スキー用のオーバーサングラス(メガネの上からかけられるタイプ)

 外側に身に付ける物には、ゴアテックスを素材に使ったものを選びました。特にアウターに関しては、ゴアテックスの極寒仕様のジャケットとパンツを新たに購入しました。ゴアテックスは外部からの雨や雪の浸入は防ぎますが、内部でかいた汗は蒸発・発散させるという、完全防水の防寒着に最適の素材です。この素材を使った製品は高価ですが、実際に使ってみると、確かにそれだけの価値はありました。また、インナーについても重視しました。今回はミズノのブレスサーモという速乾性・保温性に優れた素材のものを選びました。

 ブーツは-40℃に耐えられるというカナダ製のものを用意したのですが、それでも吹雪いた時には足先がとても冷たくなって、耐え難いほどになりました。そのため、つま先を上下にサンドイッチするように使い捨てカイロ(靴の中で使うタイプ)を2枚貼ったところ、以後は快適に撮影することができました。

 手袋については、二種類を使い分けました。左手にはスキー用の保温性に優れたもの、右手にはカメラを操作しやすい薄手のもの(ホームセンターなどで作業用に売っている安価なもの)を使いました。右手は、撮影時以外は手袋をしたままポケットに突っ込んでおくことで寒さを防ぎました。帽子は、以前から使っていたスキー用のものを持っていきました。耳当てが付いているところが重要なポイントです。耳が露出した状態では、屋外での長時間の撮影には耐えられないと思います。今回は晴れている日が多く、雪の反射がとてもまぶしかったので、持って行ったサングラスが役に立ちました。

●防寒装備について(ビデオカメラ用)

 ビデオカメラは寒さに弱く、私の使っているSONYのHC1は、0℃以下の気温では正常な動作が保証されません。そのため、自作の防寒用カバーを付けて撮影しました(詳しくはこちら)。このカバーは防雪・防寒という点では期待通りの効果を発揮し、吹雪の中でも平気で撮影をすることができました。

 予想外に良かったこととしては、ウインドジャマー付きの純正の外部マイクがあります。この外部マイクは雪が降り出したら使えないと思っていたのですが、北海道の雪はパウダースノーなので、ウインドジャマーをかぶせた状態だと、ついた雪は融けることもなく振り払えば簡単に取れてしまいます。そのため、雪が降っている中でも、外部マイクはそのまま使用することができ、クリアなサウンドの収録に役立ちました。

 その一方で、いくつか改善したい点も見つかりました。

・テープ交換・バッテリー交換にとても手間がかかる
 SONYのHDVカメラ HC1の欠点は、テープ交換・バッテリー交換をする際に、三脚から取り外す必要があることです。防寒用カバーをつけた状態からだと、さらにテレコン、外部マイク、防寒用カバーをはずさないと交換ができません。それだけの作業をするのは、特に雪が降っていたりするとかなりの手間で、交換作業中に何回も撮影チャンスを逃してしまいました。できることなら、つけたままでもテープ交換・バッテリー交換ができるような構造のカバーにしたいと思いました。

・防寒用カバーの反射で液晶モニターが見えにくい
 防寒用カバーの外側の素材には軟質プラスチック製のシートを使ったのですが、反射する素材のため、太陽の位置により照り返しで液晶モニターが非常に見えにくくなるケースがありました。特に生コンポイントでは、このせいで飛行機を見失うことが何回もありました。

・ファインダーをのぞくことができない
 吹雪いてくると、飛行機はとても見えにくくなります。すこしでもはっきり見えるように、液晶モニタではなくファインダーをのぞいて撮影したいケースがあったのですが、防寒用カバーをつけた状態だとファインダーをのぞくことができませんでした。

・外部マイクの取り付けに手間取った
 防寒用カバーの一部に穴を開けて、外部マイクを取り付けられるようにしたのですが、雪の浸入を防ごうと穴の大きさを最小限にしたため、取り付けに手間取るケースがありました。テープ交換・バッテリー交換のたびに取り外し・取り付けが必要だったため、余計にやっかいでした。

 これらの点については、次回のトライの際には改善した上で臨みたいと思っています。

投稿者 webmaster : 2007年03月21日 22:10 | コメントする (0) | トラックバックする (0)

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