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2012-11

デジタル一眼レフでの飛行機の動画撮影(2)

  • 2012-11-28 (水)
  • DSLR

 暗所での動画撮影におけるデジタル一眼レフの優位性に関しては、既にいろいろなところで言われていますが、実証の意味でサンプルを作ってみました。

 使用したビデオカメラ(HDR-XR520V)は、家庭用のビデオカメラとしては暗さに強い機種で、特にワイドでの撮影ではかなり健闘しています。とはいえ、デジタル一眼レフ(EOS Kiss X6i + EF 70-200mm F2.8L IS II USM)の映像は、鮮明さや黒のしまり具合、発色などの点でかなり上回っています。フルサイズセンサーの EOS 5D Mark III などを使えば、さらに明るく美しく撮れると思います。

 前回の記事では日中、今回は夜間の動画サンプルをご紹介しましたが、どのように感じられたでしょうか? ビデオカメラ(HDR-XR520V)もデジタル一眼レフ(EOS Kiss X6i)も、同じ場所で同じような時間帯に撮ったものです。画質に関しては、YouTube にアップした段階でかなり劣化していますが、デジタル一眼レフの発色の良さ、階調の豊かさ、薄い霧が晴れたような(レンズの)キレの良さを、それなりに感じていただけたのではないかと思います。

 ただ、両者の機材の価格は、同じではありません。カメラ本体の価格は大きくは変わりませんが、デジタル一眼レフで使用したレンズ(EF 100-400mm F4.5-5.6L IS USM や EF 70-200mm F2.8L IS USM)は、カメラ本体の価格を大きく上回ります。旅客機の撮影には性能の良い望遠レンズが必要になりますが、これらは総じてとても高価です。

 動画撮影用としてのデジタル一眼レフは、価格(レンズを含む)や操作性から考えて、業務用のビデオカメラや映画撮影用のカメラと比較すべきものだと思います。映画やCMの撮影に使える機材としては低価格で手に入るために、プロの間では注目され、既に広範囲で使われていますが、家庭用ビデオカメラの代替機として考えるのは不適切です。例えば、上のような YouTube で公開する動画の撮影用であれば、アップロード時に圧縮がかかるせいで画質が劣化してしまうので、元動画に過剰な高画質を求めることは意味がなく、コストパフォーマンスが見合わないでしょう。デジタル一眼レフでの動体(飛行機など)の撮影は特に難しく、画質追求に対するモチベーションが高くないと、扱い難さに対する不満ばかりが募ると思います。

 一方、市販されている映画やドラマ、環境映像などのブルーレイディスクに匹敵する画質を求めるのであれば、とても魅力的な選択肢です。操作性の悪さは人間が補う必要がありますが(笑)。

 さて、私が使用しているデジタル一眼レフ(EOS Kiss X6i)を、一般的なビデオカメラ(HDR-XR520V)と比較すると、以下のような点が異なります。

(1) オートによる動画撮影(シャッタースピード、絞り、ISO感度をカメラ任せにする)は、映像の明るさ(露出)が滑らかに変化しないため使えない。
(2) 動画撮影時のオートフォーカスは、遅くて精度も悪いので使えない。
(3) マニュアルフォーカスでズームする(画角を変える)と、フォーカスがずれる。
(4) 電動ズームはない。
(5) レンズ交換ができる/レンズ交換をしなければならない。
(6) 機材が増える/かさばる/重くなる。
(7) 大容量のバッテリーがないので、頻繁に交換が必要。
(8) 解像度1920×1080(いわゆるフルハイビジョン)だと、24Pや30Pでの撮影はできるが、60iや60Pでは撮影できない。

 これらに対して、私がここ数カ月ほどで実感したことをお伝えすると、

 (1)に関しては、慣れるのにそれほど時間はかかりませんでした。(2)に関しては、被写体が動体(旅客機)の場合、マニュアルフォーカスでの撮影は決して簡単ではありませんが、なんとか対応できるようになりました。もっとも最初はピンボケ映像を量産しましたが・・・(笑)。(3)(4)に関しては、映画的な撮影スタイルを志向する人であれば、あまり問題はないと思います。一般的なビデオカメラによる、臨機応変な撮影スタイルを好む人にはお薦めできません。(5)は、現場でのレンズ交換が時間的、環境的に難しい場合は、サブカメラを用意して対応。(6)は、国内であれば(撮影ポイントの移動に車が使えるので)通常は問題ありませんが、海外や、国内でも徒歩でしかアクセスできない場所の場合は、機材をできるだけ絞り込むなどの対策が必要になるでしょう。先日、シンガポールで撮影を行ったのですが、機材を担いでの移動はなかなかハードでした(笑)。(7)は一日中、朝から晩まで撮影する場合に備えて、6個のバッテリーを準備しています。(8)は、現在までのところ特に問題を感じていません。

 (3)に関しては、1カットの中でのズームアップ/ズームダウンが事実上できない、(4)に関しては、写真用のレンズだと滑らかなズーム操作が困難なため、私のように大きな障害とは感じないという人もいれば、撮影スタイルによっては致命的な欠陥と感じる人もいるでしょう。別の見方としては、ルーク・オザワさん的な(情景的な)動画を撮影したい人にとっては格好のツール、伊藤 久巳さん的な(機体の迫力を重視した)動画を撮影したい人にとってはハードルの高いツールだと思います。

 上で映画的な撮影スタイルと述べたのは、

(a) カットの積み重ねで作品作りをする。
(b) 極端にいえば、ストーリーボード(絵コンテ)に従って、必要なカットを、あらかじめ検討しておいた方法で撮影する。
(c) ズームアップ/ズームダウンは、ほとんど使わない。

という意味合いです。

 もし手元に映画のDVDがあれば、ストーリーを追うのではなく、各カットのカメラワークやカットつなぎに注目して分析的に見てもらうとわかるのですが、映画ではズームアップ/ズームダウンはほとんど使われません(カメラ自体が動くトラックアップ/トラックバック、クレーンによる移動撮影はよく使われています)。映画撮影用のカメラには、そもそも電動ズームは付いていません。なので、映画的な映像を撮りたいプロフェッショナルにとっては、マニュアル撮影は当たり前、撮影中のズームはめったに使わない、カメラやレンズが(映画撮影用と比べれば)安い割に優秀、美しいボケ味(浅い被写界深度)が魅力的・・ということで、デジタル一眼レフでの動画撮影がスムーズに受け入れられたのだと思います。

 私は少し前から、自分で撮影したものをブルーレイディスクにして家の大型液晶テレビで見ると、市販のブルーレイディスクの映像と比べて、映像のキレの無さをとても残念に感じるようになっていました。これを改善できるのであれば、多少の制約事項は許容範囲だと感じています。所詮は趣味の世界の話なので、自己満足できることが最優先です(笑)。デジタル一眼レフの映像を体験してしまうと、特段の理由がない限りは、家庭用ビデオカメラでの撮影に戻ることは考えられなくなりました。ただ、空港やその周囲での撮影は、往々にして本格的な機材を使いずらい場合があります。そのため、従来のコンパクトなビデオカメラが不要になることは決してありません。

 今回は、私の使っているCanon の EOS の使用感に関するお話でしたが、動画の高画質追求であれば、別の選択肢も考えられます。これに関しては、また別途取り上げてみたいと思います。

デジタル一眼レフでの飛行機の動画撮影(1)

  • 2012-11-24 (土)
  • DSLR

 前回の記事で、ビデオカメラとデジタル一眼レフとで旅客機を撮影した動画のサンプルをご紹介しました。今回は、デジタル一眼レフで旅客機の動画を撮影する場合の注意点などをお話してみたいと思います。

 前回でもご紹介した上のサンプルですが、ビデオカメラ(HDR-XR520V)の動画はオートで撮影したものです。一方、デジタル一眼レフ(EOS Kiss X6i)の動画はフル・マニュアルで撮影しました。

 デジタル一眼レフで動画を撮影する場合、基本的にはマニュアル撮影を行う必要があります。シャッタースピード、絞り、ISO感度、フォーカスは、全てマニュアルで設定します。何故そうしなければならないのかという点については、
 デジタルムービー実践ガイドブック(玄光社MOOK)
 デジイチ動画レンズワークガイドブック
などの書籍に詳しく解説されていますので、本格的にデジタル一眼レフでの動画撮影に取り組みたいと考える方は、一読をお薦めします。

 ところで、私が現在使用している機材ですが、カメラ本体は既に述べた通り

 Canon EOS Kiss X6i

 レンズは、

 (1) EF-S 17-55mm F2.8 IS USM
 (2) EF 70-200mm F2.8L IS II USM
 (3) EF 100-400mm F4.5-5.6L IS USM
 (4) EF-S 18-135mm F3.5-5.6 IS STM

です。(1)(2)(3)のレンズは高価ですが、画質はとても良好です。(4)(カメラとセットで販売されているレンズ)の画質とは明らかに違うので、(4)は通常は使用していません。EOS Kiss X6i は 撮像素子のサイズがAPS-Cで、望遠に強いタイプの機種です。EOSシリーズの入門機ですが、動画撮影に限って言えば性能面でほとんど問題がありません。EOSムービーの画質は本体よりもレンズで決まると思っているので、レンズに積極的に投資をしました。また当然のことながら、これらのレンズは写真の撮影用としても価値の高いものです。

 さて、デジタル一眼レフでの動画撮影の場合、日中は原則としては

・シャッタースピードは1/60秒に固定
・ISO感度は最低値(EOS Kiss X6i の場合は100)に固定
・適正露出は絞り(+NDフィルタ)で調整

で撮影します。フォーカスも、マニュアルフォーカスで撮影します。被写体が旅客機の場合、パンフォーカス(手前から奥までピントが合っている)で撮影したい場合が多いのですが、シャッタースピード1/60秒、ISO感度100の場合、晴天の日中だと絞り値はF16~22になるので、被写界深度はかなり深くなります。夕方から夜にかけては、できるだけ明るいレンズを使い、ISO感度を上げる、シャッタースピードを落とす(ただし1/30秒まで)ことで対応します。

 上のサンプル動画では、旅客機の着陸前と着陸後では被写体や背景の明るさがかなり異なります。旅客機の動きをフォローする場合、このように1カットの中で明るさが大きく変わるケースも多いのですが、1カットの途中で絞り値を変更することは原則として行いません。1カット全体を通して破綻しないように絞り値を決めるのは、それなりに注意を要する作業です。

 デジタル一眼レフは、ビデオカメラよりも撮像素子が大きく画質面で有利ですが、フォーカス合わせはとてもシビアになります。旅客機は高速で動くので、マニュアルフォーカスで撮影するためには、被写界深度を考慮しつつ撮影時の状況に応じて、素早く精密なフォーカス合わせをする必要があります。ここが、旅客機のような動体の撮影でもっとも難しく、かつ重要なポイントです。

 デジタル一眼レフのズームレンズは、ズームを動かすとフォーカスがずれるので、画角を変えたら毎回フォーカスを合わせ直す必要があります。オートフォーカスが使えない場合、これは事実上、動画撮影中のズームアップ/ダウンはできないことを意味します。EOS Kiss X6i では、一部のズームレンズ(例えば上記の(4)のレンズ)で動画撮影時にオートフォーカスがそれなりに使えますが、とはいっても精度はあまり高くありません。(1)(2)(3)などの高性能なレンズでは、動画撮影時のオートフォーカスは遅くて精度がさらに悪く、全く使えません。これらはEOSシリーズを使った動画撮影の、現時点での制約事項です。

 旅客機の撮影では、望遠レンズを使うことが多いので、安定した映像を撮るために手振れ補正機能が役立ちます。Canonのズームレンズの手振れ補正機能は、動画撮影時も有効で、フィーリングも良好です。

 オートで手軽に撮影というわけにはいかないデジタル一眼レフでの動画撮影ですが、特に高性能のレンズを使った場合の画質は、とても素晴らしいものがあると感じています。決して扱いやすい機材ではないのですが、劇場公開用の映画やCM、歌手のプロモーションビデオなどの撮影に使えるレベルの機材を個人で扱えるというのはとても魅力的です。動体(旅客機)のマニュアル撮影にも大分慣れてきたので、今後の主力機材として活用していくつもりです。

ビデオカメラとデジタル一眼レフの比較映像

  • 2012-11-24 (土)
  • DSLR

 同じようなシチュエーションで撮影した、ビデオカメラとデジタル一眼レフの動画の比較映像を作ってみました。撮影場所は、成田空港のB滑走路16Lエンド近くにある展望台です。

ビデオカメラ:
 SONY HDR-XR520V + VCL-HG2037Y(テレコン)

デジタル一眼レフ:
 Canon EOS Kiss X6i + EF 100-400mm F4.5-5.6L IS USM

Panasonic GH3

lumix-gh3.jpg

 この12月に、PanasonicのGH3が発売になりますが、かなり気になっています。私は、デジタル一眼レフでの動画撮影にCanonのEOSを使っているのですが、EOSの導入に当たっては、PanasonicのGH2とかなり迷いました。
 デジタル一眼レフでの飛行機の動画撮影では、明るい手ブレ補正機能付きの望遠ズームレンズが必須と考えています。私が現在使用しているレンズは、

(1) EF-S 17-55mm F2.8 IS USM
(2) EF 70-200mm F2.8L IS II USM
(3) EF 100-400mm F4.5-5.6L IS USM
(4) EF-S 18-135mm F3.5-5.6 IS STM

で、日中は(1)(2)(3)、夜間は(1)(2)を主に使用しています。

 EOSの導入当時(今年の6月頃)は、GH2(=マイクロフォーサーズ)で使えるレンズはかなり限られていて、特にF2.8クラスの明るい望遠ズームレンズが見当たりませんでした。現在は、

(a) LUMIX G X VARIO 12-35mm/F2.8 ASPH./POWER O.I.S.
(b) LUMIX G X VARIO 35-100mm/F2.8 ASPH./POWER O.I.S.
(c) LUMIX G VARIO 100-300mm/F4.0-5.6 /MEGA O.I.S.

が製品化されており、Canonと比べても(私が欲しいと思うレンズのバリエーションに関しては)遜色がなくなりました。仮に今、導入を検討するとしたら、ますます難しい選択になったことでしょう。

3か月ぶりの羽田空港

 この前の土曜日(11月9日)、主にJALの新鶴丸塗装機を撮るために、羽田空港に行きました。飛行機に乗るためではない、撮影目的としては、実に3か月ぶりの羽田空港です。
 午前中は、JALの787のプッシュバックを撮りに、国際線ターミナルの展望デッキへ。(※写真はすべてビデオからのキャプチャです。クリックすると拡大表示になります。)

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 9:10に羽田を出発するJALの787(北京行き)を撮影。雲ひとつない晴天のおかげで、とてもきれいに撮れました。

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 上の写真は、国際線ターミナルからみた第1ターミナル方面。JALの新鶴丸塗装機がとても増えたことを実感。

 午後は、主に34Rからの離陸機を撮りに、第2ターミナルの展望デッキへ。

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 上の写真は、第2ターミナル展望デッキからの眺め。この日は視程がよく、スカイツリーがはっきり見えました。

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 幸運にも、新鶴丸塗装のMD-90の離陸シーンに出会えました。

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 JALの777-200。羽田でも、視程のよい日はとても美しい離陸シーンが撮れます。

 夜は、第1ターミナルの展望デッキに移動。

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 ここでは、嵐ジェットの着陸~到着シーンが撮れました。

 最後に、深夜の国際線ターミナルに戻って、再びJALの787の出発シーンを撮影。

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アジア方面への海外遠征について、検討してはみたものの・・・

  • 2012-11-07 (水)
  • 2012

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 先日のシンガポール遠征で、海外遠征に対する心理的なハードルがかなり下がったので、アジア方面を中心に次の遠征先を検討していたのですが、実現はかなり難しいことがわかりました。海外遠征には多額のコストがかかるので、関係者とともに費用対効果をシビアに検討・判断する必要がありました。そこでしか見れないエアラインを撮れるのはとても魅力的なのですが、日本と異なり、撮影環境の制約が大きい。多くの良い撮影ポイントがないと、定点観測的な撮影になってしまうので、遠征先としては優先度が下がります。日本の撮影環境は年々悪化していると思っていたのですが、アジアの他の国々と比べると、日本はまだまだ安全で自由度の高い撮影環境であることを実感しました。

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