シンガポール・チャンギ国際空港遠征(6)

 過去数回の記事で、シンガポール・チャンギ国際空港遠征のレポートをご紹介しましたが、最後に遠征実施にあたって注意したことや、現地で感じたことを少しお話したいと思います。

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 今回のチャンギ国際空港遠征ですが、100%趣味で撮影に行ったというわけではなく、とあるところからの依頼を受けて行ったという意味合いの強いものでした。従って、一定の成果を必ず持ち帰らなければならず、楽しめばいいだけの遠征ではありませんでした。こうした場合、日本国内であれば天候が最大の心配事になりますが、海外遠征の場合はそれだけでは済みません。懸念事項は多岐にわたるため、事前のリサーチにはかなり時間をかけました。

 シンガポールに限らず、海外の空港での撮影事情を調べれば調べるほど、海外遠征は(予想通り)少なからぬリスクを伴うものであることが分かりました。空港のターミナル内での記念撮影であっても、国によっては撮影を禁じているところがあります。日本であれば、空港外周のフェンスの外から空港内を撮影しても、よほどのことがない限り咎められることはありませんが、海外の場合は、展望台のような場所以外では原則禁止だと思った方が無難です。航空無線を聞くためのレシーバーも、国によっては違法となります。また、空港外周の治安も要注意で、高価な撮影機材を使って撮影すること自体が危険につながる可能性があります。セキュリティ面でも治安の面でも、安全に撮影できそうな場所を事前に入念に調べておく必要があります。

 私は、海外の空港で本格的な撮影を行うのは今回が初めてでした。なので今回の遠征では、何よりもリスク回避を最優先にしました。撮影に使った場所も、空港のターミナルビルの中、市民や観光客がたくさん訪れる公園、ホテルの屋上などで、問題が生じる恐れができるだけ少なくなるようにしました。初の海外遠征先をシンガポールに決めたのは、アジアの国の中では治安が良好で、何かあっても少なくとも英語でコミュニケーションができるからです。

 シンガポールの空港内やその周辺は、日本と同レベルで整備されており、清潔で安心感がありました。ですが、日本と同じように撮影できるかと言えば、決してそんなことはありません。空港フェンスには近づけないし、航空無線を聞くこともできません。日本であれば、レンタカーを借りて効率的にロケハンや撮影ポイントの移動を行うのですが、さすがに初めて行く国で車を運転する気にはなりません。タクシーを使うにしても、普通の観光客が行かないような場所に行くのは避けたい。従って徒歩で行ける、あるいは交通の便がよい安全な撮影ポイントを事前に厳選して、その中でいかに効率的かつ効果的に撮影するかを考えました。

 今回は、撮影機材としてデジタル一眼レフを主に使用したのですが、これはセッティングするととても目立ちます。

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 周囲の状況によっては、もっとさりげない機材の方が望ましいことも考えられたので、バックアップとして、小型のビデオカメラや小型の三脚なども持って行きました。結果的には、ほとんどの撮影をデジタル一眼レフで行いましたが。

 それでも最終日、ターミナルビル内の屋内展望スペースで撮影中に、警備員(警官?)の職務質問を受けました。セキュリティ上の理由だということで、そこで撮影した1時間ほどの映像を、その場で削除するよう指示されました。職務質問は穏やかだったものの、パスポートをチェックされ、英語でやりとりをするのはかなりのプレッシャーでした。

 私は海外遠征初心者なので、これから海外遠征にトライしてみたいという方にアドバイスをするには経験値が全く足りませんが、シンガポール初遠征に関しては、以上のような心構えで臨み、また現地の状況はこれまでにレポートしたような様子でした。何かの参考にしていただければと思います。

 シンガポール遠征では、質・量ともに、ある程度満足できる映像を撮影することができました。航空会社や機種のバリエーションを豊富に撮れたので、少なくとも依頼内容は概ねクリアできました。初めての海外遠征、初めての国、初めての空港での撮影としては、成功だったのではないかと思います。これにより、こちらが望めば、アジア各国の空港への遠征がシリーズ化しそうです。ただ、ここで注意しなければならないのは、シンガポールで撮影できたからといって、他の国でもうまくいくかどうかは、全く保証の限りではないということです。撮影依頼の対象が、欧米の空港ではなくアジアの空港だということも、相対的にリスクが高く、要注意です。これらへの海外遠征は、くれぐれも慎重に対応すべきだと考えています。

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