探査機「はやぶさ」の帰還をめぐる話題

 昨日(6/14(月))の新聞各紙では、小惑星探査機「はやぶさ」の地球帰還が1面トップに掲載されていました。今日(6/15(火))の日経朝刊の社説などでも取り上げられていましたね。

 昔、アポロ計画というのがあって、米国が月に人間を送ったのですが、この時はアポロ11号で初めて月面着陸に成功しました。はやぶさは、無人とは言え、月とは比較にならない長距離、かつ小さな目標の小惑星「イトカワ」にいきなり行って着陸し、地球に帰還しました。月より遠い天体に行って着陸し戻ってきたというのは過去例がなく、人類史上初の快挙です。

 はやぶさの開発費は、約130億円とのこと。これは今回のミッションからするとお話にならないほどの少ない金額で、かつ初めての試みが満載で、NASAなどからは無謀な計画だと見られていたようです。これは、日本の宇宙開発関連の予算が少ない上に、いきなり「世界初」を狙うようなものでないと認められないからです。段階を追ってレベルアップしていくような環境にはなく、にもかかわらず失敗すると、そのリスクは無視されて「税金の無駄遣い」などと叩かれてしまいます。惑星探査の分野で、日本はその技術力の高さを世界に示しました。金星の気象探査に向かっている「あかつき」、ソーラーセイル実験機「イカロス」の成果にも期待したいところですが、日本の前途は多難です。現に後継機「はやぶさ2」の今年度の予算は、概算要求17億円の申請に対し3,000万円とのことで、これでは事実上の撤退宣言です(※民主党がJAXAをはじめ、事業仕分けで科学技術研究予算の削減を図っていることは事実ですが、はやぶさ2の予算そのものに関しては、JAXA内部での予算配分の問題でもあるようです)。

 はやぶさは、6/13(日)の22:51頃に大気圏に突入したのですが、同時刻、日本のテレビ局はバラエティ番組やサッカーのワールドカップ(日本戦ではない)の放送で忙しく、番組表には「はやぶさ」のはの字も見当たりませんでした。はやぶさの動向が知りたい人たちは、ネットのライブ放送やJAXA(宇宙航空研究開発機構)のサイト、ツイッターなどに押し寄せ、アクセス集中でサーバーが次々にパンク状態になっていきました。

 はやぶさが大気圏に再突入し燃え尽きる様子は、NASAがジェット機を飛ばして空撮に成功。和歌山大学やネット関連のメディアは、インターネットで現地からライブ配信を行いました。NHKも現地で素晴らしい映像を撮影したのですが、テレビで放映されたのは、約2時間後の午前1:00のニュースでした。せめて1局ぐらいは、特集番組でも組んで生放送して欲しかったのでしたが、叶いませんでした。ネット上では「テレビは終わった」などの声が目立ちましたが、私もこの件に関しては同感です。

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