冬の新千歳空港でのビデオ撮影

 冬の新千歳空港のような寒冷地で、雪の降る中をビデオ撮影するためには、それなりの工夫が必要です。同じようなことをトライしたいと思う物好きな方がいらっしゃるかどうかはわかりませんが(笑)、今回の撮影で私なりに工夫した点をご紹介しようと思います。

 撮影で使用したビデオカメラは、SONYのHDR-XR520Vです。2/13(金)に発売になったばかりの新製品です。

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 冬の新千歳空港の外周の気温はマイナス20℃~0℃くらいですが、ビデオカメラをこのような寒冷地で使用する場合は注意が必要です。まず、バッテリーはとても寒さに弱く、寒いとすぐに消耗してしまい、バッテリー切れで撮影できなくなってしまいます。また、カメラ本体ですが、XR520Vの動作保証温度はカタログ上では0℃~40℃です。取扱説明書によれば、あまりに寒い場所、暑い場所ではセンサーが働いて機器の動作が止まるとのこと。従って、本体の方も、何らかの対策(保温)が必要になる可能性があります。

 今回、雪が降っていない時は、バッテリー部分に使い捨てカイロを貼り付けて、暖めながら撮影しました。

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 私が使用したバッテリーは最も大容量のタイプ(NP-FH100)で、気温25℃だと約5時間半使用できます。新千歳空港の外周では、前記の対策により4時間以上使用することができました。これはかなりよい数字だと思います。ビデオカメラ自体はそのままで使用しましたが、特に動作上問題は発生しませんでした。また、雪景色の中での撮影は周囲が明るく、ビデオカメラの液晶モニタがとても見づらくなります。そのため、あらかじめ自作しておいた遮光用フードを液晶モニタに付けて撮影しました。

 雪が降った場合、ビデオカメラは水にとても弱いので、さらに雪からビデオカメラを保護する必要があります。これに関しては、防寒用のカバーをあらかじめ自作して現地に持参しました。

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 このカバーは、外側が軟質プラスチック、内側が保温効果のある(梱包材の)エアクッションです。防水(防雪)のほか、保温という面でも十分な効果を発揮します。カメラ全体を暖めたいときは、カバーの内部に使い捨てカイロを入れますが、新千歳ではそこまでは必要ありませんでした。さらに気温の低い、冬の旭川空港とかだと必要になるかもしれませんね。外部マイクはカバーの外に出ているので、サウンドの収録上も支障が出ません。北海道の雪は、通常はパウダースノーなので、外部マイクのウインドジャマーについても払えばすぐにとれてしまいます。撮影の開始、終了、ズーム操作は、パン棒に取り付けたリモコンで行います。カバーはやわらかいので、タッチパネル式の液晶モニタも操作できます。

 今回、新発売のXR520Vを入手できたのが2/13(金)の夜、遠征に出発したのが2/16(月)の早朝だったため、それに合った防寒用カバーや液晶モニタの遮光用フードを作るのが時間的にとても厳しく、ほとんど徹夜明けのような状態で新千歳に出発するはめになりました。ですが、準備が間に合わなかった場合には、撮影時にかなりの制約がついてしまったはずなので、がんばっておいて本当によかったと思います。

 新千歳空港の外周は、基本的に2メートルほどの高さのフェンスがあります。私は、いつものように、SLIKのTHE PROFESSIONAL 4という最大高2.5メートルの特大の三脚と、足場にするための脚立(ホームセンターなどで洗車用に売っている作業台)を現地に持ち込みました。

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 ビデオ運台は、マンフロットの503を使用しています。この運台は寒さに強く、さすがに若干動きは固めにはなるものの、新千歳の寒さの中でもスムーズに動いてくれます。

 また今回、新千歳空港のターミナルビルの中から、ガラス越しの撮影もかなり行いました。日中は雪で外が明るいのでまだよいのですが、夜間はガラスの映り込みこみが激しく、何もしないととても撮影が難しい状況でした。そこで、黒い色画用紙にレンズ穴を開けただけの写りこみ防止用のシートを、現地で作りました。

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 簡単な工夫なんですが、これはとても効果がありました。空港での撮影環境は悪化の一途をたどっているため、状況に応じてガラス越しの撮影もうまく使っていかざるを得ません。そんな時に、このシートはとても役に立つため、今後も常にカメラバックの中に入れておこうと思います。

 なお、上の写真の小型の三脚は、SLIKのスプリントPRO(三脚)+ベルボンのQUICK LEVELER+マンフロットの701RC2(運台)を組み合わせたものです。分解すると55センチほどの長さの三脚ケースに全て収納できます。これは機内持ち込みが可能なサイズなので、普段立ち入りができないチェックイン後の出発ロビーや飛行機から降りた直後の到着ロビーなどで、飛行機を撮影するために使用できます。

冬の新千歳空港でのビデオ撮影” に対して1件のコメントがあります。

  1. YAKATA より:

    反射防止紙の黒の色画用紙、ナイスです!!
    私も黒画用紙は常にカメラバックに入れてます。
    加えて、黒系のシャツ、ダウンジャケット、ジャンパーなど、
    何かと黒系ばかり着るような・・・(笑)

  2. > 加えて、黒系のシャツ、ダウンジャケット、ジャンパーなど、
    なるほど、確かにそれならリスクを減らせるし、とっさの時は体で遮れますね。さすが、プロの気配り。

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